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噛みしめとは?【整骨院SAPIENS監修│茨木市/総持寺・高槻市】

噛みしめとは

噛みしめとは、下顎をほとんど動かすことなく、上下の歯を強く食いしばる動作を指します 1。この行為は、夜間の睡眠中に多く見られる歯ぎしりとは異なり、何かに集中している時や緊張している時など、昼夜を問わず発生する可能性があります 1。しかし、歯ぎしりのように音を立てたり、歯が大きく摩耗したりすることが少ないため、周囲の人だけでなく、本人も気づきにくいという特徴があります 1。起きている間の噛みしめは、本人が意識することで注意できる場合もありますが、睡眠中の場合は自覚がないまま顎関節や咀嚼筋に負担をかけてしまうことがあります 2

歯科の分野では、噛みしめは一般的にブラキシズムという用語で包括的に扱われます 4。ブラキシズムは、歯や顎に過度な負担をかける口腔内の悪習癖の総称であり、歯ぎしり(グラインディング)、食いしばり・噛みしめ(クレンチング)、歯をカチカチと叩き合わせる(タッピング)の3つに分類されます 4。この分類からもわかるように、噛みしめはブラキシズムの中でも特にクレンチングと呼ばれる状態を指します 4

噛みしめと歯ぎしりの大きな違いの一つは、音の有無です。歯ぎしりは、上下の歯を左右に擦り合わせることで「ギリギリ」「ガリガリ」といった音を伴うことが多いのに対し 7,噛みしめは、音を立てずに上下の歯を強く噛み合わせるため、周囲に気づかれにくいのです 3。また、歯ぎしりは睡眠中の浅い眠りの段階(レム睡眠時)に起こりやすいとされていますが 7,噛みしめは起きている時間にも無意識のうちに行われることが多いのが特徴です 7

このように、噛みしめは、日常的に起こりうる無意識の行為でありながら、放置すると様々な悪影響を及ぼす可能性があるため、その定義と医学的な分類を理解することが重要です。

医学的な分類

ブラキシズムは、その発生する時間帯によって大きく二つのカテゴリーに分類されます。それが睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムです 13

睡眠時ブラキシズム

睡眠時ブラキシズムは、睡眠中に起こる歯ぎしりや歯の食いしばりのことを指します 12。これは、国際睡眠関連疾患分類において睡眠関連運動異常症に分類されており、「過度の覚醒活動に関連する睡眠中の歯のグラインディングまたはクレンチングを特徴とする口腔異常機能」と定義されています 18。睡眠時ブラキシズムは、主に睡眠の浅いノンレム睡眠時に発生することが多くの研究で示されています 12

睡眠時ブラキシズムの原因は、いまだ完全には解明されていませんが、ストレス、歯並び、飲酒、喫煙、遺伝的要因、薬の作用など、様々な要因が複合的に関与していると考えられています 14。特にストレスは、睡眠時ブラキシズムの有力な原因の一つとして挙げられています 15。また、睡眠の質も深く関わっており、不眠症などの睡眠障害もリスクファクターとなる可能性があります 14

睡眠時ブラキシズムの主な特徴としては、グラインディング(歯ぎしり)、クレンチング(食いしばり)、タッピング(歯をカチカチと噛み合わせる)の3つが挙げられます 19。これらのうち、グラインディングは「ギリギリ」という音を伴うことが多く、周囲の人に指摘されて初めて気づくことも少なくありません 5。一方、クレンチングは音を立てずに強い力で噛みしめるため、本人も周囲も気づきにくい傾向があります 5。睡眠時ブラキシズムは、一般成人の8〜16.1%に見られ、加齢とともに減少する傾向があるという報告もあります 18

覚醒時ブラキシズム

覚醒時ブラキシズムは、睡眠中ではなく、起きている間に無意識的に歯を食いしばる(クレンチング)ことを主な特徴とする状態です 7。これは、睡眠時ブラキシズムとは異なり、様々な条件に伴って獲得された習癖と考えられています 13。特に、ストレス、不安、集中、あるいは激しい感情などが誘因となることが多いとされています 17

覚醒時ブラキシズムは、一般的に睡眠時のような激しい音を伴う歯ぎしり(グラインディング)は少ない傾向があり、主に無音の強い噛みしめ(クレンチング)として現れます 18。しかし、わずかに横に動かすこともあり、その場合は音がすることもあります 5。覚醒時ブラキシズムは、歯の痛みや摩耗、顎関節の不快感、頭痛など、様々な症状を引き起こす可能性があります 17

覚醒時ブラキシズムは、TCH(Tooth Contacting Habit:上下歯列接触癖)と関連していると考えられています 13。TCHとは、食事や会話以外の時間に無意識に上下の歯を接触させる癖のことで、通常、安静時の歯の接触時間は1日に約20分程度ですが、覚醒時ブラキシズムがあると、この接触時間が大幅に増加します 4。覚醒時ブラキシズムは、理論的には患者指導により是正が可能と考えられており、自らが有害な行動を無意識あるいは意識的に行っていることを認識させるための行動変容療法が適用されることがあります 14

特徴睡眠時ブラキシズム覚醒時ブラキシズム
発生時間帯睡眠中起きている間
主な症状歯ぎしり(グラインディング)、食いしばり(クレンチング)、タッピング食いしばり(クレンチング)が主、軽度の歯ぎしり
自覚の有無少ない時々自覚する
主な原因中枢神経系、睡眠関連疾患ストレス、習慣
あり(グラインディング)ほとんどなし
行動療法による改善の可能性比較的低い比較的高い

噛みしめを引き起こす可能性のある原因

噛みしめを引き起こす原因は多岐にわたり、単一の原因だけでなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症することが多いと考えられています。

ストレスと不安

ストレスと不安は、睡眠時および覚醒時ブラキシズムの両方において、最も重要な原因の一つとして挙げられます 11。ストレスを感じると、無意識のうちに顎に力が入り、歯を食いしばってしまうことがあります 20。特に、仕事や人間関係などによる精神的な緊張は、顎関節周辺の筋肉に過度な緊張を引き起こし、関節に負担をかける原因となります 20。コロナ禍のような社会的なストレスの増加も、噛みしめを増やす可能性が懸念されています 21

睡眠障害

睡眠障害も、睡眠時ブラキシズムの重要なリスクファクターです 14。不眠症のような睡眠の質の低下や、睡眠時無呼吸症候群などが関連していることが示唆されています 15。睡眠中の覚醒反応が、歯ぎしりや食いしばりを引き起こすと考えられています 18

歯並びと咬合

かつては、歯並びや噛み合わせの悪さがブラキシズムの主要な原因と考えられていましたが、近年の研究では、咬合異常が直接的な原因であるという科学的根拠は実証されていません 18。しかし、不正咬合が顎関節に負担をかけ、噛みしめを誘発する可能性も指摘されています 15。また、乳歯から永久歯への移行期に歯ぎしりを始める子供もいるなど、成長過程における歯並びの変化が影響を与えることもあります 17

生活習慣

生活習慣も、噛みしめの発症に影響を与える可能性があります。アルコールやカフェインの過剰摂取は、睡眠の質を低下させ、睡眠時ブラキシズムのリスクを高めることが知られています 14。喫煙も、ブラキシズムとの関連が指摘されています 14。また、夜間の低血糖も、睡眠時ブラキシズムを引き起こす要因の一つとして考えられています 17

その他の要因

上記以外にも、噛みしめを引き起こす可能性のある要因は様々です。遺伝的な要因や、特定の薬物の副作用なども考えられます 14。女性は、男性に比べてストレスに敏感であり、ホルモンバランスの変化も影響するため、顎関節症に伴い噛みしめを起こしやすい傾向があるという報告もあります 20。姿勢不良も、体の重心のずれから顎の位置がずれ、噛み合わせが悪くなることで顎に負担をかけ、噛みしめを引き起こす可能性があります 20。親知らずの抜歯や生え方も、顎関節に影響を与え、噛みしめにつながることがあります 20。さらに、食物繊維の摂取量が少ないことが、睡眠中の歯ぎしりと関連している可能性も示唆されています 25

噛みしめによって引き起こされる可能性のある症状や影響

噛みしめは、口腔内だけでなく、全身に様々な症状や影響を及ぼす可能性があります。

歯と顎への影響

噛みしめによる最も直接的な影響は、歯や顎に現れます。強い力で歯を食いしばることで、歯が異常に摩耗したり 5,欠けたり、割れたりすることがあります 5。詰め物や被せ物が取れやすくなることもあります 9。また、歯の根元にくさび状のへこみ(くさび状欠損)が生じたり 5,歯の付け根がえぐれたりすることもあります 5。これらの影響により、冷たいものがしみたり(知覚過敏) 5,飲食物の摂取に支障をきたすこともあります。

顎への影響としては、顎の疲労感や痛み 3,口を開ける時の痛みや音(カクンカクンというクリック音など) 5,顎が大きく開けられないといった顎関節症の症状が現れることがあります 4。長期間の噛みしめは、咬筋(噛む筋肉)を肥大させ、エラが張ったような顔つきになることもあります 12。また、歯周病を悪化させたり 4,歯がグラグラと動揺したり 5,歯肉が退縮したりすることもあります 5。頬の内側や舌に歯の跡が残ることも、噛みしめの兆候の一つです 5

頭痛と肩こり

噛みしめは、歯や顎だけでなく、頭痛や肩こりといった全身の症状を引き起こすことも少なくありません 4。特に、朝起きた時に首の後ろが凝っていると感じたり、マッサージに行ってもすぐに元の辛い状態に戻ったりする場合は、歯ぎしりや食いしばりが原因である可能性があります 17。これは、顎の筋肉の過度な緊張が、首や肩の筋肉にも伝わり、こりや痛みを引き起こすためと考えられています 20。また、顎関節周辺の痛みは、頭痛の原因となることもあります 4

睡眠の質の低下

睡眠中の強い噛みしめは、睡眠の質を低下させる可能性があります 17。歯を食いしばる際の強い力は、睡眠を浅くし、熟睡感を妨げることがあります。その結果、日中の眠気や集中力の低下につながることもあります。

その他の全身への影響

まれに、噛みしめが原因で耳鳴り 11、めまい 9、口内炎 26などの症状が現れることもあります。これは、顎関節と耳の構造が近いため、顎の異常な動きが耳に影響を与えたり、口腔内の粘膜に過度な力が加わることで炎症を引き起こしたりするためと考えられます。

症状カテゴリ具体的な症状
歯の摩耗、歯の破折、歯の欠け、詰め物・被せ物の脱離、知覚過敏、歯の根元のくさび状欠損
顎・筋肉顎の痛み、顎の疲労感、顎関節症(開口時の音、開口障害)、咬筋の肥大
その他頭痛、肩こり、首こり、耳鳴り、めまい、睡眠の質の低下、歯周病の悪化、歯肉退縮、頬や舌の噛み跡

歯科医院や医療機関での噛みしめの診断方法

歯科医院や医療機関では、患者さんの症状や状態に合わせて、様々な方法で噛みしめの診断が行われます。

問診

診断の最初のステップとして、歯科医師や医師は患者さんに対して詳細な問診を行います 9。これには、自覚症状(顎の痛み、頭痛、肩こりなど)、睡眠時の様子(歯ぎしりを指摘されたことがあるかなど)、ストレスの状況、生活習慣(飲酒、喫煙、カフェイン摂取など)などが含まれます 9。特に睡眠時の歯ぎしりや食いしばりは、本人よりも同居の家族やパートナーが気づいていることが多いので、周りの人に確認することも重要な情報源となります 19

視診と触診

問診に続いて、口腔内の視診と触診が行われます 5。視診では、歯の摩耗の程度や、欠け、ひび割れ、詰め物や被せ物の状態、歯肉の状態などを確認します 5。また、頬の内側や舌に歯の跡がないか、歯の根元にくさび状の欠損がないかなども観察します 5。触診では、顎の筋肉(特に咬筋や側頭筋)を触って、痛みやこり、肥大がないかを確認します 18。顎関節の動きや開口量、開閉時の音などもチェックされます。

必要に応じて行われる検査

問診と視診・触診の結果、さらに詳しい検査が必要と判断された場合には、以下のようないくつかの検査が行われることがあります。

  • 睡眠時ブラキシズムの検査: 睡眠中の歯ぎしりや食いしばりの状態を客観的に評価するために、睡眠ポリグラフィー(PSG)や睡眠時歯科筋電図検査が行われることがあります 19。PSGは、脳波、眼電図、心電図、呼吸、酸素飽和度、体動、顎や眼球の筋肉の動きなどを一晩かけて記録する精密な検査で、通常は入院下で行われます 18。一方、睡眠時歯科筋電図検査は、患者さん自身が自宅で計測装置を装着し、睡眠中の顎の筋肉の活動を測定するもので、PSGよりも簡便に行うことができます 19
  • マウスピースの確認: 既にマウスピース(ナイトガード)を使用している場合は、その表面の摩耗具合を確認することで、睡眠中のブラキシズムの程度やタイプを推測することができます 19。表面に色をつけて摩耗具合を分かりやすくするマウスピースもあります 19

これらの診断方法を組み合わせることで、噛みしめの有無やその原因、程度などを総合的に判断し、適切な治療法を選択することが可能になります。

噛みしめに対する様々な治療法

噛みしめに対する治療法は、その原因や症状の程度によって多岐にわたります。

マウスピース(ナイトガード)

マウスピース(ナイトガード)は、睡眠時ブラキシズムに対する最も一般的な治療法の一つです 19。これは、主に就寝中に装着することで、歯ぎしりや食いしばりの力を分散させ、歯や顎関節への直接的なダメージを防ぐことを目的としています 19。マウスピースは、歯科医師が患者さんの歯型に合わせて作製するカスタムメイドのものが推奨されます。保険適用となる場合もあり 19,硬い素材のものや柔らかい素材のものなど、様々な種類があります。マウスピースは、ブラキシズムそのものを止めるわけではありませんが、歯の摩耗や破折、顎関節症の悪化などを防ぐ効果が期待できます 19

薬物療法

薬物療法は、噛みしめの症状を緩和するために用いられることがあります 14。主に、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩剤(ジアゼパム、メトカルバモールなど)や、高血圧の治療に用いられるクロニジン、抗不安薬であるベンゾジアゼピン系の薬剤(クロナゼパムなど)が用いられることがあります 14。しかし、これらの薬物は、副作用や依存性のリスクがあるため、長期的な使用は慎重に検討される必要があります 14。薬物療法は、あくまで対症療法であり、根本的な原因の解決にはならないことも理解しておく必要があります。

ボトックス注射

ボトックス(ボツリヌス毒素)注射は、特に強い噛みしめによって顎の筋肉(咬筋)が発達しすぎている場合や、痛みが強い場合に検討されることがあります 14。ボトックスを咬筋に注射することで、筋肉の過剰な収縮を抑制し、噛みしめの力を弱める効果が期待できます。効果は一時的であるため、定期的な注射が必要となる場合があります。

認知行動療法

認知行動療法(CBT)は、特に覚醒時ブラキシズムに対して有効な治療法の一つです 18。これは、患者さん自身が噛みしめの癖に気づき、その行動を修正するための様々なテクニックを学ぶものです。ストレスマネジメントやリラクゼーション法、歯を離すことを意識する訓練などが行われます 18。自己暗示療法も、歯ぎしりをしないように寝る前に暗示をかけることで効果があるという報告もあります 27

物理療法

物理療法は、噛みしめによって生じた顎や首、肩の筋肉の痛みやこりを和らげるために行われます。具体的には、マッサージ、温熱療法、低周波治療、顎関節のストレッチや運動療法などがあります。これらの治療法は、症状の緩和を目的としたものであり、噛みしめそのものを止める効果はありません。

その他の治療法

上記以外にも、バイオフィードバック療法や、噛み合わせの調整(咬合調整)が行われることがあります 24。バイオフィードバック療法は、顎の筋肉の活動をモニタリングし、患者さん自身がその活動を意識的にコントロールできるように訓練する方法です 18。咬合調整は、歯の接触状態を微調整することで、噛み合わせのバランスを整え、特定の歯に過度な負担がかかるのを防ぐことを目的として行われますが、ブラキシズムに対する効果については議論があることも知られています 18

日常生活でできる噛みしめの予防策や対処法

日常生活の中で、噛みしめを予防したり、その影響を軽減したりするための対策はいくつかあります。

リラックス方法

ストレスは噛みしめの大きな原因の一つであるため、日頃から意識的にリラックスする時間を持つことが重要です 15。瞑想、ヨガ、深呼吸、趣味に没頭する、音楽を聴くなど、自分に合ったリラックス方法を見つけ、実践することが推奨されます。

食生活の注意点

就寝前のカフェインやアルコールの摂取は、睡眠の質を低下させ、噛みしめを誘発する可能性があるため避けるようにしましょう 14。また、最近の研究では、食物繊維の摂取量が少ないことが睡眠中の歯ぎしりと関連している可能性も示唆されているため、バランスの取れた食生活を心がけることも大切です 25

姿勢の改善

姿勢の悪さは、顎関節に負担をかけ、噛みしめにつながることがあります 20。日頃から正しい姿勢を意識し、長時間同じ姿勢でいることを避けるようにしましょう。特に、スマートフォンやパソコンを使用する際は、首や肩に負担がかからないように注意が必要です。

就寝前の習慣

規則正しい睡眠スケジュールを守り、就寝前にリラックスできるような習慣を取り入れることが、睡眠の質の向上につながり、睡眠時ブラキシズムの予防に役立ちます 16。寝る前の過度な照明やアルコールの摂取は避け、リラックスできる環境を整えましょう。

日中の意識的な注意

起きている間に、無意識に歯を食いしばっていることに気づいたら、意識的に顎の力を抜くように心がけましょう 4。上下の歯は、食事や会話の時以外は軽く離れているのが正常な状態です。デスクワーク中や集中している時など、特定の状況で噛みしめやすい場合は、付箋を貼るなどして注意を促す工夫も有効です。顎やこめかみのあたりを心地よい強さでマッサージすることも、筋肉の疲労軽減につながり、顎関節症や頭痛の予防効果が期待できます 26

噛みしめが全身の健康に与える可能性のある影響

噛みしめは、単に口周りの問題だけでなく、全身の健康にも影響を与える可能性があります。

精神的な健康との関連性

噛みしめと精神的な健康状態の間には、密接な関連があることが知られています 14。ストレスや不安は噛みしめの主要な原因の一つであり、慢性的な噛みしめは、睡眠不足や痛みを通じて、さらにストレスや不安を増幅させる可能性があります。そのため、噛みしめの管理には、精神的な健康への配慮も不可欠です。カウンセリングやストレスマネジメント、リラクゼーション技法などを取り入れることが有効な場合があります。

他の疾患との関連性

噛みしめは、他の疾患とも関連している可能性が指摘されています。例えば、睡眠時無呼吸症候群の患者さんには、睡眠時ブラキシズムを合併する割合が高いという報告があります 15。また、胃食道逆流症(GERD)も、夜間の覚醒を引き起こし、それが睡眠時ブラキシズムにつながる可能性が示唆されています 27。これらの疾患を抱えている場合は、それぞれの疾患の治療と並行して、噛みしめの管理を行うことが重要となる場合があります。

噛みしめに関する最新の研究動向や将来的な治療法の展望

噛みしめに関する研究は、現在も活発に進められており、新たな知見や治療法が期待されています。

最新の研究動向

近年の研究では、睡眠中の歯ぎしりだけでなく、日中の無意識の噛みしめも歯の摩耗の重要な原因であることが明らかになってきています 21。特に、コロナ禍におけるストレス増加が、日中の噛みしめを増やす可能性も懸念されています 21。また、睡眠中の歯ぎしりと食物繊維摂取量の関連性を示唆する研究も発表されており、食生活が睡眠時の口腔内運動に影響を与える可能性が示唆されています 25。顎関節症の原因についても、従来の噛み合わせの悪さだけでなく、ストレス、女性ホルモンの変動、姿勢不良など、複数の要因が複雑に関与しているという考え方が主流になってきています 20。さらに、噛むという行為が、全身の筋肉の協調性を高め、運動能力にも影響を与える可能性も研究されています 32。睡眠時無呼吸症候群と歯ぎしりの関連性や、無自覚の「隠れ歯ぎしり」が顔の歪みなどにつながる可能性も指摘されており、より多くの人に日中の噛みしめのリスクを認識してもらうことの重要性が高まっています 22。睡眠時ブラキシズムの病態についても、微小覚醒と呼ばれる中枢神経活動との関連性など、より詳細なメカニズムが解明されつつあります 18

将来的な治療法の展望

将来的な噛みしめの治療法としては、現在行われているマウスピース療法、認知行動療法、薬物療法などに加え、より個別化されたアプローチが発展していくと考えられます。ストレスマネジメントや生活習慣の改善指導は、引き続き重要な役割を果たすでしょう 14。バイオフィードバック療法や自己暗示療法といった、患者さん自身が主体的に関わる治療法の有効性もさらに検証されていく可能性があります 18。また、睡眠時ブラキシズムに対しては、睡眠の質を改善するアプローチや、神経生理学的なメカニズムに基づいた新たな治療法の開発も期待されます。覚醒時ブラキシズムに対しては、より効果的な行動変容療法の開発や、ウェアラブルデバイスなどを用いたモニタリング技術の応用が進むかもしれません。いずれにせよ、早期に歯科医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが、将来的な深刻な病態への進行を防ぐ上で重要であると言えるでしょう 24

まとめ

噛みしめは、無意識のうちに行われることが多い癖でありながら、歯や顎だけでなく、全身の健康にも様々な影響を与える可能性があります。睡眠時と覚醒時でその特徴や原因が異なるため、それぞれのタイプに合わせた適切な理解と対処が重要です。ストレスや睡眠障害、生活習慣など、様々な要因が噛みしめを引き起こす可能性があるため、日常生活での予防策や対処法を実践することも大切です。歯科医院や医療機関では、問診や視診、必要に応じて行われる検査によって診断され、マウスピース、薬物療法、認知行動療法など、様々な治療法が提供されています。最新の研究では、日中の噛みしめの重要性や、食生活との関連性などが明らかになってきており、今後の治療法の発展も期待されます。噛みしめの症状に気づいたら、早めに専門家に相談し、適切なアドバイスと治療を受けることが、健康な生活を送る上で重要と言えるでしょう。

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  27. 歯ぎしりを放っておくとどうなる? – 新宿の歯医者「新宿西口歯科医院」|都庁前駅30秒・新宿三井ビル【土日も診療】, 3月 25, 2025にアクセス、 https://ikashika.jp/column/bruxism_effects/
  28. 歯ぎしりの原因と放置した場合の悪影響を解説|平野区の歯医者「かんばら歯科クリニック」, 3月 25, 2025にアクセス、 http://www.kambara.dental/blog/post-51/
  29. 第12回:歯ぎしりと無呼吸症候群 – NurSHARE, 3月 25, 2025にアクセス、 https://www.nurshare.jp/article/detail/10595
  30. ブラキシズムの診療ガイドライン 睡眠時ブラキシズムの治療(管理)について – 日本補綴歯科学会, 3月 25, 2025にアクセス、 https://hotetsu.com/files/files_540.pdf
  31. 顎関節症治療科|昭和大学歯科病院, 3月 25, 2025にアクセス、 https://www.showa-u.ac.jp/SUHD/department/list/tmd/
  32. 火事場の馬鹿力は噛むことで生み出されていた!?噛むこととからだの驚きの関係, 3月 25, 2025にアクセス、 https://www.lotte.co.jp/kamukoto/body/546/
  33. 睡眠時ブラキシズムの病態に関する最近の研究動向について | NDLサーチ | 国立国会図書館, 3月 25, 2025にアクセス、 https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I033989985
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