腰痛の多くは、直ちに重大な病気を意味するものではありません。しかし、腰痛には骨折、感染、神経の障害、内臓の病気などが関係する場合もあり、痛み方や伴う症状によっては整形外科での診察を優先する必要があります。
特に、安静にしても軽くならない痛み、発熱、脚のしびれや脱力、排尿・排便の異常などを伴う場合は、自己判断で施術や運動を続けず、速やかに医療機関へ相談してください。
この記事では、「救急受診を検討する腰痛」「速やかに整形外科へ相談したい腰痛」「診察後に整骨院へ相談できる可能性がある腰痛」を分け、受診先を判断するための目安を解説します。
腰痛の受診目安を3段階で確認
1. 救急受診を検討する状態
突然の激しい腰・背中の痛みに加えて、胸の痛み、息苦しさ、冷や汗、意識の変化、突然片脚に力が入らないなどの症状がある場合は、緊急性の高い病気も考えられます。迷わず119番へ連絡してください。
2. 速やかに整形外科へ相談する状態
安静時にも続く痛み、悪化する痛み、発熱、脚のしびれ・脱力、排尿の変化、強い外傷後の痛みなどがある場合は、施術より先に医師による診察が必要です。
3. 診察を受けながら施術も検討できる状態
医療機関で緊急性の高い病気や骨折などが否定され、姿勢や特定の動作で症状が変化する場合は、身体の使い方や生活上の負担を見直すことが選択肢になります。
この分類はあくまで一般的な目安です。症状だけで原因を確定することはできないため、迷う場合は医療機関へ相談してください。
腰痛は腰だけが原因とは限りません
腰痛の原因には、腰の筋肉や関節、椎間板、神経などに関係するものがあります。腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、骨折、感染症、腫瘍など、医師による診断が必要な病気も含まれます。
一方で、血管、腎臓や尿管などの泌尿器、子宮や卵巣などの婦人科、胃腸などの消化器の病気によって、腰や背中に痛みを感じる場合もあります。日本整形外科学会も、腰以外の病気によって腰痛が起こる可能性を案内しています。
「姿勢が悪いから」「筋肉が硬いから」と一つの原因に決めつけると、必要な診察が遅れるおそれがあります。腰以外の症状や治療歴を含めて考えることが重要です。
速やかに整形外科を受診した方がよい症状
日本整形外科学会は、次のような症状を伴う腰痛では、放置したり自分だけで管理したりせず、速やかに整形外科を受診するよう案内しています。
- 横になって休んでも痛みが軽くならない
- 時間の経過とともに痛みが強くなっている
- 発熱を伴っている
- 脚にしびれがある、または力が入りにくい
- 尿が漏れる、出にくいなど排尿の変化がある
これらの症状がある場合、最初に必要なのは原因を確認するための診察です。必要に応じてX線、MRI、血液検査、尿検査などが検討されます。
脚のしびれや脱力がある
腰痛に脚の痛みやしびれが伴う場合、神経が刺激されている可能性があります。しびれの範囲が広がる、つまずきやすい、足首や足指を動かしにくい、歩きにくいといった変化がある場合は早めに整形外科へ相談してください。
排尿・排便や感覚に変化がある
尿が出にくい、尿意が分かりにくい、尿が漏れるなどの変化に、脚の脱力やしびれが伴う場合は、神経への強い圧迫など緊急の対応が必要な状態も考えられます。施術を予約して待つのではなく、速やかに医療機関へ相談してください。
発熱や強い全身倦怠感がある
発熱を伴う腰痛では、感染症など筋肉疲労とは異なる原因も考える必要があります。悪寒、食欲低下、強いだるさがある場合や、感染症の治療中、免疫を抑える薬を使用している場合は、医療機関へ症状を伝えてください。
夜間や安静時にも強く痛む
寝返りなどの動作とは関係なく、横になっても強く痛む、夜間に何度も目が覚める、日に日に悪化する場合は、単なる姿勢や筋肉の疲れと決めつけないことが大切です。痛みの経過と治療歴を伝え、整形外科で相談してください。
救急車を呼ぶことも検討したい状態
厚生労働省の救急受診案内では、突然の激しい胸・背中の痛み、急な息切れ、意識の障害、突然片方の腕や脚に力が入らないなどを、救急車を呼ぶ目安として示しています。
腰痛に見えても、血管や心臓、脳などに関係する緊急性の高い病気が隠れている場合があります。次のような状態では119番への連絡を検討してください。
- 突然、経験したことのない激しい背中・腰の痛みが出た
- 胸の圧迫感、息苦しさ、冷や汗を伴う
- 意識がもうろうとする、会話がかみ合わない
- 突然、片側の手足に力が入らない
- 事故や転落後で、立てないほど強く痛む
救急車を呼ぶべきか迷う場合は、地域の救急相談窓口を利用する方法もあります。ただし、明らかに緊急性が高い場合は相談窓口を待たず119番へ連絡してください。
転倒や事故の後に腰が痛む場合
転倒、交通事故、スポーツ中の衝突、高所からの落下など、強い力が加わった後の腰痛では、骨折や靱帯の損傷などを確認する必要があります。見た目に腫れや変形がなくても、骨折を完全に否定することはできません。
特に、高齢の方、骨粗しょう症を指摘されている方、ステロイド薬を長期間使用している方は、小さな転倒でも骨折することがあります。外傷後の強い痛み、体重をかけられない状態、背骨を押したときの強い痛みなどがある場合は整形外科を優先してください。
交通事故では、事故直後に症状が軽くても後から痛みが強くなることがあります。警察や保険会社への連絡とあわせ、まず医療機関で診察を受け、診断内容を確認することが大切です。
緊急ではなくても早めに相談したい腰痛
危険な症状がなくても、次のような場合は一度整形外科へ相談することをおすすめします。
- 数日から数週間たっても改善する傾向がない
- 同じ腰痛を何度も繰り返している
- 仕事、家事、睡眠に大きな支障が出ている
- 歩ける距離が短くなり、休むと再び歩ける
- 理由の分からない体重減少や食欲低下がある
- がん、骨粗しょう症、感染症などの治療歴がある
画像検査は、すべての腰痛に必ず必要なわけではありません。医師が症状、診察所見、外傷歴、治療歴などを確認し、検査の必要性を判断します。「検査を受ければ必ず原因が一つに決まる」とも限らないため、画像所見と現在の症状をあわせて評価することが大切です。
整形外科では何を確認するのか
整形外科では、痛みが始まった時期やきっかけ、痛む場所、脚の症状、日常生活への影響、過去の病気や服薬状況などを確認します。続いて、姿勢、歩行、腰や脚の動き、筋力、感覚、反射などが診察されることがあります。
診察結果に応じて、X線検査で骨の状態を確認したり、神経や椎間板などを調べるためMRI検査を検討したりします。感染症や内臓の病気が疑われる場合には、血液・尿検査や他の診療科への紹介が必要になることもあります。
診察を受ける際は、「痛み止めだけ欲しい」と伝えるだけでなく、脚のしびれ、発熱、排尿の変化、外傷の有無を伝えることが重要です。
腰以外の症状があるときの相談先
腰痛に血尿や排尿時の痛みが伴う場合は泌尿器科、腹痛や吐き気が強い場合は内科・消化器内科、妊娠中の腰痛に出血や強い腹部の張りが伴う場合は産婦人科など、症状に応じた診療科が必要になることがあります。
どの診療科へ行けばよいか分からない場合は、まず整形外科やかかりつけ医へ相談し、症状を詳しく伝えてください。夜間・休日で緊急性の判断に迷う場合は地域の救急相談窓口も利用できます。
鍼灸整骨院SAPIENSへ相談できる腰痛
医療機関で緊急性の高い病気や骨折などが否定され、動作や姿勢によって腰のつらさが変化する場合は、身体の使い方や生活上の負担を見直すことが選択肢になります。
鍼灸整骨院SAPIENSでは、腰だけでなく、股関節や背中の動き、立ち方・座り方、仕事や家事で繰り返している動作、睡眠や休憩の取り方などを確認します。そのうえで、身体の状態に合わせた施術やセルフケアをご提案します。
当院では病気の診断、画像検査、薬の処方は行えません。確認の結果、医療機関での検査が必要と考えられる場合は、施術を行わず受診をご案内します。施術による変化や必要な期間には個人差があります。
受診前に整理しておくとよい情報
- いつ、どのような状況で痛み始めたか
- 痛む場所と、脚へ広がる痛み・しびれの有無
- 発熱、排尿・排便の変化、腹痛などの有無
- 転倒や事故など、きっかけとなる外傷の有無
- 痛みが強くなる姿勢や、楽になる姿勢
- これまでの病気、手術、服用中の薬
- 仕事、家事、スポーツで繰り返している動作
症状の経過を時系列で簡単にメモしておくと、医療機関でも整骨院でも状態を確認しやすくなります。お薬手帳や検査結果がある場合は持参してください。
腰痛の受診についてよくある質問
腰痛だけでも整形外科を受診してよいですか?
受診できます。腰痛は整形外科が扱う代表的な症状の一つです。強い痛み、長引く痛み、繰り返す痛みがある場合は、原因を自己判断せず相談してください。
先に整骨院へ行ってから病院でもよいですか?
危険な症状がある場合や、外傷の程度が大きい場合は整形外科を先に受診してください。医師の診断や画像検査が必要な状態を、整骨院だけで確認することはできません。
レントゲンで異常がなければ問題ありませんか?
X線検査で確認しやすいのは主に骨の状態です。症状によってはMRIや血液検査などが検討されることもあります。検査結果だけでなく、診察所見と症状の経過を含めて医師の説明を受けてください。
痛みが軽ければ様子を見てもよいですか?
痛みの強さだけでは緊急性を判断できません。発熱、脚の脱力、排尿の変化、外傷歴などがある場合は、痛みが軽く感じられても医療機関へ相談してください。
まとめ
腰痛で受診先を迷ったときは、痛みの強さだけでなく、安静時の痛み、症状の悪化、発熱、脚のしびれ・脱力、排尿の変化、外傷の有無を確認します。これらに当てはまる場合は整形外科を優先してください。
突然の激しい胸・背中の痛み、息苦しさ、意識の変化、突然手足に力が入らないといった症状では、119番への連絡も検討します。医療機関で重大な病気や外傷が否定された後は、姿勢や身体の使い方、生活上の負担を見直すことが選択肢になります。