転倒して股関節に激痛が走り、脚の付け根が腫れている、脚を動かせない…このような症状に心当たりはありませんか?それは、もしかしたら「大腿骨転子部骨折」かもしれません。大腿骨転子部骨折は、高齢者に多く見られる骨折で、適切な治療を行わないと寝たきりになってしまう可能性もあります。
今回は、大腿骨転子部骨折について詳しく解説し、その原因、症状、そして改善策をご紹介します。早期発見・早期治療が重要な大腿骨転子部骨折、一緒に正しい知識を身につけ、適切な対処法を知りましょう。
大腿骨転子部骨折とは?
大腿骨転子部骨折とは、太ももの骨(大腿骨)の付け根部分にある「転子部」が折れてしまう骨折です。大腿骨転子部は、股関節の動きを支える重要な部分であり、歩行や立ち上がりなどの動作に不可欠です。
大腿骨転子部骨折は、骨粗鬆症によって骨がもろくなっている高齢者に多く見られます。転倒やちょっとした段差でのつまずきなど、比較的軽微な外力でも骨折してしまうことがあります。
大腿骨転子部骨折の症状
大腿骨転子部骨折の主な症状は以下の通りです。
- 股関節の痛み:骨折した瞬間に、股関節に激痛が走ります。その後も、安静時や動かす時に痛みが続きます。
- 股関節の腫れ:骨折部位周辺が腫れることがあります。
- 脚の付け根の変形:骨折によって、脚の付け根が短くなったり、外側に開いたりするなどの変形が見られることがあります。
- 脚を動かせない:痛みのために、脚を動かすことが難しくなります。
- 歩行困難:痛みのために、歩くことが困難になります。
- 内出血:骨折部位周辺で内出血が起こり、皮膚が青黒くなることがあります。
これらの症状は、日常生活に支障をきたすだけでなく、放置すると合併症を引き起こす可能性もあります。
大腿骨転子部骨折の原因
大腿骨転子部骨折は、主に以下の原因によって引き起こされます。
骨粗鬆症
- 骨粗鬆症は、骨密度が低下し、骨がもろくなる病気です。骨粗鬆症の人は、わずかな衝撃でも大腿骨転子部骨折を起こしやすくなります。
- 特に、閉経後の女性は、女性ホルモンの減少によって骨粗鬆症になりやすいため、注意が必要です。
転倒
- 高齢者は、バランス能力が低下しているため、転倒しやすく、その際に大腿骨転子部骨折を起こすことがあります。
- 室内での転倒だけでなく、外出先での転倒にも注意が必要です。
- 特に、浴室やトイレなど、滑りやすい場所での転倒は注意が必要です。
交通事故
- 交通事故による衝撃で、大腿骨転子部が骨折することがあります。
高所からの落下
- 高い場所からの落下は、大腿骨転子部骨折のリスクを高めます。
その他
- 骨腫瘍:骨に腫瘍ができると、骨が弱くなり、骨折しやすくなります。
- 悪性腫瘍の骨転移:他の臓器のがんが骨に転移し、骨を破壊することで、病的骨折と呼ばれる骨折が起こることがあります。大腿骨転子部骨折も、病的骨折の一つです。
大腿骨転子部骨折の診断
大腿骨転子部骨折は、以下の方法で診断されます。
- 問診:医師が、痛みの程度や発症時期、ケガの状況などを詳しく聞きます。
- 視診・触診:医師が、股関節の腫れや変形、圧痛などを確認します。
- X線検査:大腿骨転子部の骨折の有無や程度、骨折型などを確認するために、X線検査を行います。
- CT検査やMRI検査:骨折の状態をより詳細に評価するために、CT検査やMRI検査が行われることがあります。
- 骨密度検査:骨粗鬆症の診断や重症度を評価するために、骨密度検査が行われることがあります。
大腿骨転子部骨折の治療法
大腿骨転子部骨折の治療法は、骨折のタイプや程度、年齢、全身状態などによって異なりますが、大きく分けて保存療法と手術療法があります。
保存療法
- 牽引療法:骨折部を牽引することで、骨折を整復し、安定させる治療法です。しかし、大腿骨転子部骨折の場合は、牽引療法のみでは十分な治療効果が得られないことが多く、手術療法が選択されることが多いです。
手術療法
- 人工骨頭置換術:骨折した大腿骨頭(大腿骨の丸い部分)を人工骨頭に取り換える手術です。
- 骨接合術:金属製のネジやプレートなどを用いて、骨折した骨を固定する手術です。
- 髄内釘固定術:太ももの骨の中に金属製の釘を挿入し、骨折部を固定する手術です。
大腿骨転子部骨折の予防
大腿骨転子部骨折を予防するためには、以下の点に注意しましょう。
- 骨粗鬆症の予防:カルシウムやビタミンDを十分に摂取し、適度な運動を心がけましょう。
- 転倒予防:家の中や外出先で、転倒しないように注意しましょう。手すりや杖を使用することも有効です。
- 定期的な骨密度検査:骨粗鬆症の早期発見・早期治療に繋がります。
- 適切な靴選び:滑りにくい靴を選び、ヒールの高い靴は避けましょう。
当院では、大腿骨転子部骨折の症状に合わせた適切な施術を行います。お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。